税務ブログ

税理士事務所への就職について

税理士業界へ就職(転職)を検討している方は、どのような税理士事務所に就職(転職)していいかお悩みだったりしませんでしょうか?税理士事務所といっても大手のBig4税理士事務所から職員10人以下の税理士事務所など様々な税理士事務所が存在します。私はBig4、中堅事務所、従業員10人以下の小規模税理士事務所での勤務経験があります。どのような税理士事務所に就職(転職)すべきか個人的な見解を下記にまとめてみましたのでご参考になればと思います。

若くて自身がある場合には間違いなくBig4がおススメ

若くて自信がある場合には間違いなくBig4への就職をお勧めします。メリットとデメリットは以下の通りとなります。

<メリット>

①給料が高い

②高度な税務実務を経験できる

③ネームバリュー

④完全実力主義

まず、何といっても給与水準が高いです(上記メリット①)。残業代がフルでつきますので、新卒従業員でも1年目から残業代込みで年収500万円を目指すことが可能です(優秀であればもっと高い給与も期待できます)。日本人の平均年収が約430万円程度ですので、待遇面からBig4への就職を検討してみるのもよいでしょう。次にBig4では高度な税務業務を経験することができます(上記メリット②)。Big4のクライアントは基本的には上場企業などの大手の企業がほとんどとなりますので、国際税務、連結納税(2022年4月1日開始事業年度以降はグループ通算制度)などの高度な税務業務を経験することが可能です。また近年は人手不足が顕著ですので、積極的に手を挙げればいろいろな業務を経験することが可能かと思います。次にネームバリューです(上記メリット③)。やはりBig4での勤務経験は他社へ転職する際に有利に働くことがあるようです。私の元同僚も2~3年の勤務経験でなかなかの待遇で事業会社などに転職できていたようです。最後になりますが、Big4は完全な実力主義社会となりますので(上記メリット④)、優秀であれば若くてもどんどん出世できます。

<デメリット>

①独立向きではない

②ビジー期間はとにかく忙しい

③中途採用者は若手からの突き上げも

まず最初のデメリットですが、Big4の業務経験は独立にはあまり向いていないように思われます(上記デメリット①)。Big4では確かに高度な税務業務の経験を積むことができますが、中小企業で必要とされる業務(いわゆる個人所得税や相続税、給与計算などなど)についてはほとんど経験する機会がないでしょう。次にビジー期間(通常は1月~6月)はほんとに忙しいです(上記デメリット②)。プライベートが犠牲になることは覚悟したほうがよいでしょう(なお、最近はワークライフバランスの観点から仕事を平準化しようとする動きがありますので、以前に比べるとだいぶマシになっております)。最後になりますが、中途採用者は若手から突き上げをくらうこともあります(上記デメリット③)。近年の税理士事務所業界は人手不足ということもあり、新卒採用のほか中途採用も活発です。中途経験者は30歳超でも採用されることがあります。この場合には上位スタッフが年下になることは普通にあり、業務を通して年下の上位スタッフから突き上げをくらうことになりますが、精神的に耐えられるかどうかはご自身の性格と相談したほうが良いでしょう。また、近年はほとんど未経験の状態の中途採用者も入社してくる場合もあります。最低限の税務知識がないと業務を進めることができず、いろいろなプレッシャーから体調を崩して休職する方が増えているような気がします。私は一緒に組んだスタッフでも2名が休職に追い込まれてしまいました。基本的にイジメとかはありませんが、ビジー期間中は皆が忙しいため、あまり新人スタッフのサポートができず、一人で抱えこんでしまうケースがあるような気がします。中途採用者の方は新卒採用者の方に比べてある程度できるという期待があって仕事をアサインされる場合がありますので、その点を留意しておく必要があります。

バランスの良い中堅事務所がおススメ?

次に中堅事務所ですが、そもそも中堅事務所の定義自体が定まっていないのですが、私の中では従業員数が50名以上200人未満みたいなイメージの事務所と考えております。私の考える中堅事務所のメリットとデメリットはそれぞれ以下の通りです。

<メリット>

①独立向きである

②税理士の資格は必須ではない

まず中堅事務所のメリットとしては何といっても幅広い業務を経験することができますので独立に向けての業務を経験することが可能です(上記メリット①)。中堅事務所のクライアントは、1人社長の中小企業から上場企業までと幅広いため、幅広く税務業務の経験を積める可能性があります。また、法人税務だけではなく、相続税などの資産税業務も経験できる可能性がありますので、将来独立を検討している方は中堅事務所への就職(転職)を検討するのも良いでしょう。次に、税理士資格を持っていない場合でも出世することが可能のように思います(上記メリット②)。Big4のManager以上の方は基本的には税理士資格又は会計士資格を持ってますが(感覚的には9割以上)、私がかつて働いていた中堅事務所では有資格者の保有割合は感覚的には4割程度でした。つまり、中堅事務所の管理職においては税理士資格はmustではなく、それ以外の指標で評価されることが十分にあるということになります。また、どの会社にも共通することかもしれませんが、所長に近い立場の人は会社内では良いポジションを与えられているように思いました。

<デメリット>

①給与はピンキリ

②若手はなかなか大きい仕事を貰えないかも

まずデメリットですが、給与はピンキリかと思います(上記デメリット①)。もちろん給与の高い中堅事務所もあるかと思いますが、私が勤めていた中堅事務所は完全な年功序列体制が敷かれており、若手の給与は抑えられているような印象でした。昇給率を考えると、年収500万円超えるのにあと何年かかるのだろうとふと思ったとき転職を決意しました。次に、若手には大きな仕事が回ってこない可能性があります(上記デメリット②)。中堅事務所は上場企業のクライアントを抱えている場合があるとはいえ、そのクライアント数はBig4などと比べると断然に少ないです。したがって、上場企業の担当者はベテランスタッフがアサインされる可能性が高く、若手スタッフは関与できるとしても限定的となり、大きな仕事をやりたい方にとっては不満が残るかもしれません。事務所の年齢構成なども考慮して中堅事務所への就職(転職)を考慮すると良いでしょう。

すべては所長次第の小規模事務所

最後に小規模事務所についてですが、小規模事務所の定義も定かではありませんが、従業員数が10名以下の事務所を小規模事務所として定義しました。メリット、デメリットそれぞれについて考えてみました。

<メリット>

①独立向きである(中堅事務所とはまた違った意味での)

②事務所が専門的であれば高額給与も可能

まず、独立向きである点は中堅事務所とは同じですが、小規模事務所では、小規模事務所ならではのノウハウを学ぶことができます(上記メリット①)。例えば、通常の税務業務に加え、請求書発行、小口現金管理、事務所用品発注、PC周りのメンテナンスなどなど、独立する際に役立ちそうな業務を経験することもあります。一方、小規模事業者であっても専門的な業務を取り扱っている事務所は高額な給与を期待することができます(上記メリット②)。私の知り合いは連結納税を専門に扱っている小規模事務所で働いていましたが、給与が私の2倍近くあったことを聞いてびっくりしたことがあります(彼は無資格で私は有資格だったのですが…😢)。

<デメリット>

①給与は低い傾向

②専門性がなければ淘汰される時代に

デメリットとしては、給料はやはり低い傾向があります(上記デメリット①)。メリットの②と相反しますが、周りの知り合いからの話を聞く限りにおいては、全体的にはやはり低い傾向にあるように思います。最後となりますが、専門性のない小規模事務所は淘汰される時代になるかと思います(上記デメリット②)。小規模事務所の中には記帳代行+税務申告業務をメインとしている事務所もあるようですが、もはやそのような業務のみを対応している事務所は生き残りが難しいように思われます。専門性がなければ淘汰される時代になるかと思います。

最後に小規模事務所は、良くも悪くも所長次第となります。所長の一言ですべてが決まりますので、小規模事務所に就職(転職)する際には、所長の人となりを十分に観察したうえで就職をするのが望ましいでしょう。