A. 無償で借り受けた際に贈与税などの税金は発生しないが(将来相続税は発生する可能性はある)、将来の遺産相続トラブルが発生する可能性がありますので、親族(相続人)と財産の取扱いについて日頃からお話しすることをお勧めします。
税理士になって、またこの年齢(30代中頃)になってよく友人から相談を受けるのが、「親から土地を無償で借り受けて家を建てる際の税金」の取扱いです。この年齢層は家族ができて家を購入しようと考え始める時期であり、現在の現役世代は、税金や社会保険料の負担が重く、長年の景気低迷による収入の低迷や近年の物価高騰などもあり、親世代より購買能力がだいぶ低下しているものと考えられます。そういった背景もあるのか、上述したような質問を友人からよく受けるような気がします。
親から土地を無償で借り受けて家を建てた際に税金は発生するのか?については、上述しましたとおり、結論としては贈与税は発生しないこととなります。無償で何らかの物を貸し借りする契約を法律用語では「使用貸借」といいます(民法593)。親から無償で車を借りて税金が発生しないと同様に、親から無償で土地を借りても税金(贈与税)は発生することはありません(注:将来の相続税がなくなるということではありません)。
ただし、親の財産が土地だけの場合において、他に相続人がいる場合には、将来の相続トラブルが発生する可能性がある点に留意が必要です。その唯一の財産である土地に家が建ってしまっていますので、他の相続人からしたらその土地を共有で相続したとしても何ら利用する価値がないからです。仲が良い相続人同士であればトラブルが直ちに顕在化することはないかと思いますが、将来の財産の処分について日頃から家族内で話すことも大切かと思います。
(国税庁ホームページ)
No.4552 親の土地に子供が家を建てたとき|国税庁 (nta.go.jp)