地元の沖縄に一時帰省し、営業活動をしながら勉強をしながら日々を過ごしています。有休消化期間中で時間を持て余しているので自宅周辺を毎日ジョギングしています。
私が住んでいる地域はサトウキビ畑が多い地域なのですが、ここ10年で賃貸アパートがかなり増えた感じがします。小さな島に約130万人(本島だけだとおそらくこのくらい)住んでいて、那覇都市圏は大都市並みに人口が密集して手狭になっていますので、郊外の私たちの街に賃貸アパートの建設が増えたのではないかなと思います。
どのようなスキームで賃貸アパートを建てているのかわかりませんが、おそらく銀行と不動産会社がタッグを組んで、地主の方に営業をかけているのかもしれませんね。
特に最近地元でよく耳にするのが、親(先祖)の土地に賃貸アパートを建てるケースですかね。他人の土地に不動産を建てると借地権の問題(認定課税)がありますので注意が必要ですね。以下の2つのケースをみていきましょう。
目次
①親が子に土地を無償で貸し、子が賃貸アパートを建てる場合~地元でおそらく流行っていると思われるケース~
今の子育て世代は親世代に比べて資金力がないように思いますのでこのケースが多いと思われます。また、親族間なので地代のやり取りはないケースが多いかと思います。
(借地権課税)
このケースでは、法律上は使用貸借として整理され、税務上は借地権の認定課税はありません。
使用貸借の場合には借地権課税はありませんが、例えば、地代の支払いを行うような場合には、借地権が発生し、権利金の授受が行われていない場合には、借地権の贈与があったものとして、子に贈与税が課される可能性がある点に注意が必要です(注)。
(注)なお、土地の固定資産税程度の地代の支払いの場合には使用貸借として取り扱われます。
(親の土地)
相続税の計算上、親の土地は自用地(評価減などがない)で評価されることとなります。ただし、私の住むエリアでは相続税評価額はそれほど高くはないため、実際には影響はないかもしれません(評価減がなくても相続税は発生しない)。
なお、相続人が複数いる場合で、親の財産が土地1つである場合には”争族”問題が発生する可能性があります。親族間で土地の利用についてはよく話合いをした方が良さそうです。
(子の建物)
建物(賃貸アパート)から得られる収益は子の不動産所得に該当します。
建築費の値上がりなどもあって10室程度の部屋の場合、このエリアでも建築費は1億円を超えたりする場合もあるようです。今後は金利も上がることが想定されますので、不動産経営の収益性については今後考えなければいけませんね。
賃貸アパートを購入するためのローンについては、将来、子の相続税の計算において債務控除をすることができます。
②親が子が所有する法人に土地を貸し、法人が賃貸アパートを建てる場合
このケースは相続税対策には有効と考えられますので、相続税評価額が高い土地を持っている場合には活用しても良いかもしれないですね。
(借地権課税)
個人が法人に土地を無償で貸す場合には、原則的には借地権課税が発生することになりますが、契約書に土地を無償で返還することを明記したうえで、「土地の無償返還に関する届出書」を遅滞なく税務署に提出し、固定資産税の3倍程度の地代を地主である親に支払いをしている場合には、借地権の認定課税を避けることができます。
(親の土地)
相続税の計算上、その土地の評価額から20%の評価減の適用を受けることができます。個人に使用貸借として貸付けるのと比べると、相続税対策には有効と考えられます。
(法人の建物)
建物(賃貸アパート)から得られる収益は法人の所得となります。所得税と住民税を合わせた個人の最高税率は55%となりますので、賃貸収入が多額にある場合には、税金対策上は法人化することが良いと考えられます。
なお、法人化した場合には、家族を役員にするなどして所得分散することが可能となりますので、節税の効果が高いと考えられます。
(法人化のデメリット)
法人化のデメリットは、例えば以下のようなものが考えられます。
・法人設立費用
→今は法人設立も安くできるようになったのでそこまで大きなデメリットにはならないと考えられます。
・法人運営のランニングコスト
→法人税の申告は税理士に依頼したほうが良いので、法人税の申告書作成報酬がネックになるかもしれないですね。
私たちの地域では・・・?
私の実家周辺の地域では、たしかに賃貸アパートが増えたように思いますが、大規模な賃貸経営を行っているケースはほとんどない気がしますので、現時点では①のケースを選択している場合でも特に税務上のデメリットはそれほどないような気がします。ただ、最近はコストコができるなど、周辺地域の地価が上昇していくような場合には、相続税対策としての法人化も検討したほうが良いかもしれないですね。
※本記事は正確性を保証するものではありませんので、本記事に関する責任は一切負いかねますので、実際の節税対策などについては顧問税理士にご相談するようにお願いします。