A. 役員とは、会社法等の規定による取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事及び清算人並びにこれら以外の者でその法人の経営に従事しているものをいうとされております(法2十五、法令7)。なお、ここでいう「執行役」と「執行役員」は同義でないことに留意しましょう。上記の「執行役」は平成14年の商法改正により、委員会設置会社に執行役制度が導入されたことによる誕生したものですが、「執行役員」は上記の商法改正とは関係のない任意の制度によるものとなります。したがって、「執行役員」は商法上(現在の会社法)の役員ではないということとなります。
法人税法では、会社法上の役員に加えて、1.使用人以外の者(相談役、顧問)で経営に従事している者と、2.使用人のうち、特定株主に該当し、かつ、経営に従事している者、について税務上は「みなし役員」として取り扱うこととしています。
「執行役員」を「使用人以外の者」として判断するのか、あるいは、「使用人」として判断するのかどうかについては議論が分かれるところであり、実務上も少なからず影響が生じるところでないかと思います。すなわち、仮に「執行役員」を「使用人」という位置づけにするのであれば、特定株主に該当しない限り、「みなし役員」に該当することはないと言えます。一方で、「執行役員」を「使用人以外の者」という位置づけにすることができるのであれば、その「執行役員」が経営に従事しているのであれば「みなし役員」に該当する可能性が高くなります(一般的に、執行役員は会社の業務執行を担当する役職であることを鑑みれば、経営に従事していると判断される可能性が高いのではないかと思われます)。
なお、私の個人的な見解としましては、現状では、「執行役員」は「使用人」という位置づけになるのではないかと思います。その理由としましては、法令や通達において、「執行役員」の取扱いが明示されていない以上、拡大解釈するのはよろしくないと思われるからです。
なお、「執行役員」が「みなし役員」該当する可能性について、税務大学校の教授の論文で触れられておりますので、あわせてご確認していただければと思います。将来的には、「執行役員」も当たり前のように「みなし役員」とされる日が来るのではないかなと思われます。
(国税庁ホームページ)
https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kenkyu/ronsou/43/tominaga/hajimeni.htm