A. 分配を受けた兄弟に贈与税が課されるため注意が必要です。父が生命保険契約に加入(契約者および保険料負担者が父)している場合において、保険金の受取人が長男である場合には、相続開始時にその保険金は受取人である長男が原始取得することとなります。私法上の取扱いと税法上の取扱いについては下記のとおりです。
<私法上の取扱い>
●保険契約に基づき、相続開始時にその保険金は長男が原始取得します。
●長男が原始取得しますので、原則として遺産分割の対象とはならず、また遺留分の計算の対象外となります(例外があるので注意)。
●生命保険金は受取人の固有の権利(財産)ですので、生命保険金を受取後に他の相続人である兄妹に分配した場合には、長男から他の兄妹に対する贈与という取扱いとなります。
<税法上の取扱い>
●長男が原始取得しますが、相続に起因して取得する財産となるため、税務上は”みなし相続財産”として相続税の計算の対象となります。
●生命保険金には非課税枠が設けられておりますので(500万円×法定相続人の数)、その非課税限度額を超える部分の金額が相続税の課税の対象となります。なお、この非課税枠については、生命保険金の受取人が相続人又は受遺者である場合にのみ適用を受けることができる点に留意が必要です。
●長男が取得した生命保険金を他の兄妹に対して贈与した場合には、兄妹側で贈与税が課税されることとなります。
兄妹仲良く分配したい気持ちはわかりますが、法律上の権利が誰にあるのかという意識を持つことが大事だと思います。