源泉所得税

Q. 租税条約の届出書が未提出で源泉税の徴収を行っていない場合の実務上の取扱いは?

A. 租税条約に関する届出書を速やかに提出し、源泉税の調査に備えることになるかと思います。

例えば、外国親会社からローンを借りて利息を支払っている場合、その支払利息については日本の国内源泉所得に該当するため、国内法では源泉税の徴収が必要な場合でも、租税条約の届出書を提出することにより、源泉税が軽減又は免除されることがあります。この場合において、租税条約の届出書を提出しておらず、源泉税の徴収を行っていない場合にはどうなるのでしょうか?

本来的には、国内法に基づいて源泉税を徴収して国に納付し、租税条約に関する源泉徴収税額の還付請求を行い、不納付加算税のペナルティを納付することが考えられます。

No.2889 租税条約に関する源泉徴収税額の還付請求|国税庁 (nta.go.jp)

ただし、租税条約に関する届出書については、期限後であってもその効力を妨げるものではないとの裁判例がありますので、未提出であっても租税条約の特典を受けられないということにはなりません。

なお、税務当局側の対応ですが、必ずしも100%とは言い切れませんが、納税者側に源泉税の納付、租税条約に関する源泉徴収税額の還付請求手続き及びペナルティの納付を積極的に求めるような実務運用を避ける方向にあるようです(100%そのような取り扱いになるとは限りませんので、詳細については顧問税理士に相談していただければと思います)。

(裁判例)

下記リンク先の裁判所判決文の25頁の中段(エ)あたりに結論が書いてあります。

12672.pdf (nta.go.jp)